海外暮らしと迷い

海外生活に疲れたと感じるのは、弱さではない

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雨粒のついた窓と、窓辺の観葉植物
Photo: Pascal Bullan / Unsplash

慣れたはずの街で、急にすべてが重たく感じる。言葉はそれなりに通じるのに、どこか自分だけが浮いている気がする。そんなとき、「せっかく海外に来たのに」「自分が弱いからだ」と、自分を責めてしまう方は少なくありません。

けれど、海外生活に疲れを感じるのは、とても自然なことです。私は2017年からフランスで暮らし、海外在住の方からのご相談も数多く受けてきました。この記事では、疲れの正体を整理し、自分を責めずに整えていくためのヒントをお伝えします。

海外に暮らす日本人の約45%が孤独を感じている

外務省は2023年、海外に住む日本人を対象に、孤独と孤立についての初めての調査を行いました。5万5千人以上が回答したこの調査で、孤独を感じることがある(「しばしば・常に」「時々」「たまに」)と答えた人は合計44.9%。国内で行われた同様の調査よりも高い割合でした。

地域別に見ると、もっとも高かったのは西ヨーロッパの48.0%です。孤独を感じる理由としては、言葉に関するものがもっとも多く、次いで文化の違いが挙げられています。

つまり、海外で孤独や疲れを感じるのは、個人の性格の問題ではなく、多くの人が経験している構造的なことなのです。

「疲れ」の正体は、3つの層に分けられる

ひとことで「疲れた」といっても、その中身は人それぞれです。整理しやすくするために、3つの層に分けて考えてみましょう。

1. 言葉の疲れ

毎日の会話、役所の手続き、電話。母語でない言葉で暮らすことは、それだけで脳に大きな負担をかけます。話せるようになっても、「言いたいことの7割しか伝わらない」という感覚が積み重なると、少しずつ消耗していきます。

2. 文化の違いの疲れ

時間の感覚、人との距離の取り方、はっきり意見を言うかどうか。小さな違いの一つひとつは些細でも、毎日のことなので、常に気を張っている状態が続きます。

3. 「自分が誰なのか」が揺らぐ疲れ

日本でのキャリアや肩書き、慣れ親しんだ役割が、海外では通用しないことがあります。「日本ではできていたことができない」という感覚は、自信の土台を静かに削っていきます。これは、海外生活の疲れのなかでも、もっとも見えにくく、もっとも深いものです。

今のあなたの疲れは、どの層がいちばん大きいでしょうか。それがわかるだけでも、何から手をつければいいかが見えてきます。

カルチャーショックは「波」としてやってくる

異文化への適応は、まっすぐな右肩上がりではありません。1955年にLysgaardが示した「U字曲線」では、最初の高揚期のあとに落ち込みの時期があり、そこから少しずつ適応していく流れが描かれています。

大切なのは、この波が一度きりではないということです。何年も暮らしてから、ふとしたきっかけで大きな疲れが来ることもあります。仕事や家族の変化、年齢の節目、日本の家族のこと。そうした出来事が重なると、落ち着いていたはずの波がもう一度やってきます。

ですから、「何年もいるのに今さら疲れるなんて」と思う必要はありません。波が来ていると気づくことが、最初の一歩です。

疲れたときに、まず試してほしいこと

大きな決断をする前に、まずは今の消耗を少しでも和らげることを優先してください。

  • 母語で話す時間をつくる。 日本語で気兼ねなく話せる人と、定期的に話す時間を持ちましょう。言葉の疲れは、母語で話すだけで驚くほど和らぎます。
  • 「できたこと」を数える。 海外では、日本なら気にも留めない小さなことに労力を使っています。手続きが一つ済んだ、という日も、立派に何かを成し遂げた日です。
  • 比べる相手を選ぶ。 SNSで見る「充実した海外生活」は、誰かの一番いい瞬間です。比べるなら、1年前の自分と比べてください。
  • 相談できる相手を持つ。 外務省の調査でも、相談相手がいないことは孤独感と強く結びついていました。家族や友人、同じ境遇の人、専門家。誰か一人でも、本音を話せる相手がいることが支えになります。

疲れを、自分を知る手がかりにする

疲れは、ただ取り除くべきものではありません。何に疲れているかを見ていくと、自分が何を大切にしていて、どんな環境で力を発揮しやすいのかが見えてきます。

四柱推命では、生まれ持った気質や、エネルギーの偏りを読み解きます。たとえば、人とのつながりの中で力を発揮するタイプの方が、一人で黙々と過ごす環境に長くいると、それだけで消耗しやすくなります。それは弱さではなく、ただ環境と気質が噛み合っていないだけです。

また、今が人生のどんな時期にあたるのかを知ることで、「今の疲れは一時的な波なのか、それとも環境を見直すサインなのか」を考える材料になります。タロットは、言葉にしにくい今の気持ちを整理するための鏡として役立ちます。

疲れの中から「帰国したほうがいいのかもしれない」と考え始めている方は、帰国するか、残るか。迷い続けるときに見直したい「人生の周期」も参考にしてください。人生の時期の読み方は、四柱推命の「大運」とはで詳しく解説しています。

専門家に相談してほしいサイン

次のような状態が2週間以上続いているときは、一人で抱え込まず、医師やカウンセラーなどの専門家に相談してください。

  • 眠れない、または眠りすぎてしまう
  • 食欲が大きく変わった
  • 以前は楽しめていたことが、楽しめなくなった
  • 何をしても気分が晴れない日が続いている

国によっては、日本語で相談できる窓口や、日本語を話すカウンセラーもいます。お住まいの国の日本大使館・総領事館のウェブサイトで、相談先が案内されていることもあります。四柱推命やタロットは、こうした専門的なケアの代わりにはなりません。

まとめ

  • 海外在住の日本人の約45%が孤独を感じていて、疲れはあなただけのものではありません。
  • 疲れは「言葉」「文化の違い」「自分が誰なのか」の3つの層に分けて考えると整理しやすくなります。
  • 適応は波のように進み、何年たっても波が来ることがあります。
  • まずは消耗を和らげ、そのうえで、疲れを自分を知る手がかりにしていきましょう。
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